今回は「青汁の健康学」の要約です。
著書は元大阪大学医学部講師の医学博士、甲田 光雄(こうだ・みつお)氏です。
青汁少食は難病を治すと筆者は自らの体験をもとに推奨しています。少年時代に慢性の胃腸病に悩み、医学部に進学した後も、胆嚢胆道炎に十二指腸炎、大腸炎などを併発し、当時の医学では治すことができなかった結果、辿り着いたのが生菜食療法である『青汁療法』だったのです。血液を浄化し血管を丈夫にしてくれる青汁療法のお陰で、筆者自身が健康体そのものとなり、若い頃の病弱が嘘であったかのように元気を取り戻した経験がもとになります。医師であるからこそ、多くの患者データも交え、自分の経験も交えながら医学的にも説明してくれています。
本要約の要点
(1) 青汁はなぜ難病を治すのか?
(2) 青汁は宿便を取って腸の状態をよくする。
(3) 青汁は血液を浄化し、血管を丈夫にする。
(1) 青汁はなぜ難病を治すのか?
病気を治すためのたった1つの原則は『少食に病なし』ということです。つまり、断食療法も、生菜食療法である青汁療法も、その根源は1つのみで、普段の過食によって酷使され、動きの悪くなった腸を休めてあげれば、薬もなしに、手術をすることもなしに、自然と健康が回復するということなのです。腸を休め、その働きを回復させるために、断食は大変優れた効果を発揮します。
しかし、断食をする患者さんの中には病気がもう一息で完治するのを目前にしながら、断食をする体力が続かなくなったりするケースや、断食を辞めた後に、その反動で食べ過ぎてしまい失敗をする人が多くいるのも事実です。そのため、きちんとした指導を受けず、素人判断で生菜食療法を行うことは、健康を害してしまう危険があるためお勧めできません。ただ家庭での健康管理として、1日の内、1食だけを青汁にしたり、1週間に1回生菜食の日を設けたりといったやり方でも効果は期待できます。
(2) 青汁は宿便を取って腸の状態をよくする。
どうして現代医学も見放したような難題が青汁療法により次々と治っているのでしょうか?残念ながら、詳しいメカニズムについては、現在のところ、科学的には解明されていません。しかし宿便の問題が大きく起因していると考えています。
大食いによって、腸内には大量の食べ物が送り込まれてきます。そうすると、これを処理するために、胃腸は酷使されます。それにも関わらず過食を続けていると、しだいに胃腸の力が衰えてきます。腸マヒと呼ばれるこの状態になると、食べたものを完全には排除できなくなり腸管の一部に消化しきれなかった便が停滞してきます。宿便というのは、胃腸の処理能力を超えて負担をかけ続け、腸管内に停滞する排泄物のことです。大食の習慣が長く続けば続くほど、宿便の量は増えて来て、これが万病の元になっているのです。
宿便を排泄するには、弱った腸の力を回復させ、宿便を早く排泄し、腸マヒを治す『体質改善』を果たす他ありません。青汁は腸を刺激し、この宿便を早く排泄するために効果を発揮してくれます。また青汁療法の効果として、もう1つ考えられるのは、必要とするよりもはるかに少ないエネルギーしか与えられないため、全身の細胞がいわば飢えた状態になり、体内各部の不要な部分をエネルギーとして消化してくれます。同時に、飢えている全身の細胞が血液を要求して吸引力を増すため、血液をはじめとする循環もとても良くなり、老廃物や毒素を排泄する働きも増します。
(3) 青汁は血液を浄化し、血管を丈夫にする。
青汁には動脈硬化の進行を遅らせる効果もあります。青汁少食を実行していると、通常の数値に比べ、危険因子である血中総コレステロールが低く、動脈硬化を起こす危険が少ないことが実験により明らかになっています。動脈硬化が予防できれば、血圧は安定し、脳梗塞や脳卒中、心筋梗塞などの循環器系の病気や糖尿病も予防できます。
また野菜の中にはビタミンCやE、Pなど、血液循環を良くし、血液をきれいにする作用のある栄養素の他、カリウム、繊維なども含まれているため、これらが総合的に作用して血液をきれいにし、また血液循環を改善し、血管を丈夫にすると考えられます。血液や血管の状態がよいことは若さの象徴で、老化や生活習慣病予防のためにも、青汁少食療法は有効です。
生野菜の青汁には、インターフェロンの産生能を高める作用があることが確かめられています。インターフェロンは抗ウイルス性をもつ糖蛋白質のことで、体の細胞から作られます。体にウイルスや細菌が入ったり、ガン細胞などができたりすると、それらの刺激を受けた細胞はインターフェロンを作り、近くの健康な細胞と結びついて、ウイルスや細菌、ガン細胞などの活動を阻止してくれます。実際に、青汁を毎日摂取することで、慢性のB型肝炎が治癒した患者さんがいたことから、生野菜の青汁には体内のインターフェロンを増やす働きが明らかになっています。
また抗がん作用ということでは、青汁は白血球の働きを高めます。アトピー性皮膚炎の患者さんに青汁断食をさせると、それまで青汁と玄米ご飯、豆腐の食事をしていた時には収まっていた湿疹が、一挙に出てくるのです。これは腸にキズがあるからではなく、白血球の中のリンパ球の働きが高まったからに他なりません。他の食品を取らず、青汁だけを摂取させると、それほど白血球(リンパ球)の働きが高まるのです。
まとめ
本書では青汁少食療法を実行すれば、ビタミンやミネラルなどが豊富であるため、多くの生活習慣病を予防できることが書かれています。宿便を取って腸の状態を良くしてくれると共に、青汁に含まれるベータカロチンの抗酸化作用がガンを防ぐことが分かっており、発ガン抑制物質が発見されています。難病やアレルギーを治すのに役立っており、青汁少食療法を試してみると、過剰な栄養を摂取しなくなったため長時間の睡眠が不要となり体力がつくだけでなく、頭がスッキリして記憶力もよくなります。青汁の作り方なども載っていますので、気になった方は是非一度手にとってみてください。
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