今回は食べてはダメ、老化の原因になる食べ物5選についてお話しをしていきます。老化と言ってもいろいろな要因がありますが、今回は糖化に焦点を当ててお話をしたいと思います。
日本抗加齢医学会の学会誌があるのですが、その中に糖化を避けるための食生活「何を食べ、何を食べないか」ということについて、糖化研究の第一人者である山口昌一先生の記事が掲載されています。それをベースにより分かりやすく、そして実践しやすい方法などをお伝えしたいと思います。
まず糖化とは何か、何を食べない方が良いのか、そしてどんなことに気をつけたらよいのか、そして最後にまとめという感じでお話を進めていきます。
糖化とは何か
糖化について簡単にご説明すると、糖とタンパク質が結合して化学反応を起こし、最終的に体外に排出することができない終末糖化産物が生じ、それをAGEと呼んでいるのです。
食べ物で例えると、「お肉を焼きます」「ホットケーキを焼きます」という時に、焦げができます。茶色い色になりますが、これらが糖とたんぱく質が結合したメイラード反応といって、普通は美味しさの指標になったりするのですが、これが体の中で、起こってしまうと悪い指標になってしまうのです。
どうしてこのような現象が体内で起きてしまうかというと、高血糖の状態になっているというのが一番の原因になります。
血糖値を上げるような食生活をしていると血液中に糖が増えてしまいます。
その糖と血液中のたんぱく質が、結合するというのが最初の段階になります。
ですので、長い期間、血糖値の高い食生活をしていた方というのは、血糖値を上げてきた記憶として体内でインプットされてしまうそうなのです。
そうすると、気をつけていても過去にそういった食生活を長年続けていたりすると大きなリスクファクターになってしまうというのが分かっています。
だからといって、これからやるのは無駄ということではなく、できるだけ血糖値を上げない食生活というのがとにかく重要だということなのです。
このAGEには、100種類以上もいろいろなタイプがあるそうです。
その中には、善玉と悪玉があり、悪さをするAGEが大半なのですが、良い働きをしているAGEもあります。例えば、お味噌やお醤油、コーヒー、ビールなどには、善玉のAGEが多く含まれているそうです。
良い働きをするというAGEも、一部食品の中には含まれているのですが、血糖値が高くなってしまうような食生活によって生まれたAGEは、例えば見た目でいうところの老化現象、シワやシミなどもAGEのしわざですし、その他、生活習慣病やガン、骨がもろくなる骨粗鬆症、関節が変形してしまう現象、こういうものも全部AGEに関係しています。
一度生まれてしまったAGEというのは本当に長く体内に留まってしまうので、なかなか排出や分解をすることができないそうです。
いかに AGEを増やさない生活をするかというのが、老化を防ぐ最大のポイントになります。AGEがどのぐらい自分の体の中にあるか気になりますね。
それを知る一つの手段として血液検査の項目にもなっているヘモグロビンA1 cという数値があります。血液中のヘモグロビンとグルコースが結合して出来るものなので、ヘモグロビンA1cの数値を見ると自分の血液中の糖化現象というのは、一つの参考目安になるそうです。
ちなみに、カラメルソース、お砂糖を焦がしてプリンのシロップなどに使えますが、あれは、糖を焦がしたもので、糖とたんぱく質ではないので、メイラード反応ではありません。AGEにはならないそうなのです。
あくまでも糖化というのは糖とたんぱく質が結合することで生まれる物質ということになります。
AGEと老化のメカニズム
AGEと老化のメカニズムについてお話しします。
最終的に分解できなくなってしまった終末糖化産物という体の中の焦げ付きのようなもので、タンパク質が分解と合成を繰り返していく中で、その悪いAGEによって劣化したタンパク質を作ることになります。
劣化したタンパク質が増えてしまうことで、老化しやすくなり、劣化したタンパク質にAGEがさらに蓄積することで、うまく代謝ができなくなってしまうことの繰り返しなのです。それによって様々な老化が体内で引き起こされていきます。
AGEの害を受けやすいたんぱく質には、コラーゲン線維がいます。
体内にコラーゲン繊維は30%ぐらい存在しているそうで、皮膚以外に骨や軟骨や血管などいろいろなところにコラーゲン繊維というのは存在しているのです。
そのコラーゲン繊維がAGEによって劣化してしまうと、例えばお肌で言うと、弾力がなくなり、シミやシワの原因になるということになります。
骨にも実はコラーゲンがとても多くて、コラーゲンが網目状になって、そこにいろいろなミネラルを取り込むようにできているのですが、その網目が劣化してしまうことでミネラルの吸収が悪くなってしまって骨がもろくなるということがあります。
軟骨というのはもっとやっかいで、新陳代謝で入れ替わればいいのですが、これは一生入れ替わることなく、ずっと一定の軟骨を使い続けるしかないそうなのです。
そこに AGEが蓄積していくことで軟骨が劣化し、変形症が起きたりすると言われています。血管もAGEが増えることで血管が劣化して動脈硬化の原因にもなります。
さらに悪玉コレステロールにこのAGEが反応することでさらに動脈硬化を加速させると言われています。
脳細胞にAGEが多くなることでアルツハイマーの原因になり、目の方にAGEが多くなれば白内障の原因にもなるのです。私たちは酵素で毎日いろいろな化学反応を起こして健康維持したり、悪いところを直したりということを繰り返しているのですが、この酵素のタンパク質なのです。
この酵素にAGEが悪さをすることで、酵素の働きが悪くなります。そういうことを考えても、AGEが蓄積するというのが、どれだけ私たちの健康や美容に悪影響を及ぼしているか、それが老化につながるかということがお分かりになるかと思います。
ということで高血糖にならない食事をするということが一番大事なのですが、その他に食べ物によってもAGEを取り込まないようにするということが必要です。
では食べてはいけない食品5選、ご説明します。
食べてはいけない食品5選
1つ目
高脂肪動物性食品の焼き物や揚げ物、唐揚げやステーキ、おいしいものばかりなのですが、動物性脂肪、そしてそこにタンパク質が含まれて、高温で加熱してあるものにAGEが多く存在します。ステーキもじっくり弱火で焼いたステーキとカリカリに焼いたステーキだと、絶対に弱火でじっくり焼いたステーキの方が少ないです。
唐揚げは、こんがりと焼き色がついていますが、そこに油が加わることでAGEが多く発生します。焼肉なども頻繁に裏返して焦げ目があまりつかないようにしながら焼くと、AGEの発生量は減らせるそうです。バターにもAGEが多いので、バターを大量に使う料理、お菓子にも結構バターが隠れていますが、そういうものの摂り過ぎは注意が必要です。
2つ目
ファーストフード。これも先ほどのものに少し付随していますが、ファーストフードというのはやはり揚げ物が多いです。コロッケバーガーやハンバーガー、フライドポテトなど焼いたり揚げたりというものが多いです。揚げ物などは、早くおいしくできるという利点があるので、ファーストフードには、多く取り入れられているのですが、そこにはAGEの存在も多いということでご注意ください。
3つ目
ポテトチップス、これも美味しいですね。フライドポテトもそうなのですが、芋類を高温の油で揚げるというのはアクリルアミドというとても危険なAGEを発生するそうです。このアクリルアミドというのは超悪玉AGEと言われています。ですので、これは摂らないようにした方が良い食品ですね。
4つ目
加工肉。先ほどからの動物性食品高脂肪というものにつながってくるのですが、加工肉にしていく段階でAGEがどんどん増えるそうなのです。
さらにその加工肉をカリカリに焼いたり、焦げ目をつけたりすると、AGEたっぷりになってしまいます。
カリカリベーコンもおいしいのですが、AGEがとても多く含まれています。
さらに加工肉にはいろいろ添加物が入っていたり、さらに活性酸素を発生したり、AGEとの掛け算にもなってしまいますので、できるだけ減らすようにするといいと思います。
5つ目
ジュース類です。
清涼飲料水や果物のジュースなどいろなものが含まれますが、これは要注意です。何がいけないかというと異性化糖というものがAGEを増やす原因です。
異性化糖あまり聞き慣れないと思うのですが、果糖ブドウ糖液糖やブドウ糖果糖液糖というのが、異性化糖の一種なのです。
異性化糖とはサツマイモやとうもろこし、ジャガイモなどのでんぷんを酵素で発酵させて、さらに別の酵素で異性化させた成分のものです。
お砂糖よりも値段が安いので、幅広くいろいろな加工食品の甘味に使われているのです。
市販のジュースなどの清涼飲料水やスポーツドリンク、ドレッシングや焼き肉のたれなど幅広いところに使われていたりするので、ぜひご自宅の冷蔵庫の中の商品の裏側を見て、異性化糖が含まれている食品ってどんなものがあるか、ちょっとご覧になってみるといいかなと思います。
ここでちょっと果糖についても触れておきたいのですが、ブドウ糖に比べてAGEの発生が10倍以上といわれています。果糖というのは、とても厄介で消化酵素で分解されずにそのまま腸から吸収されて、大部分が、細胞に直接入ってくるのですが、残りの分は肝臓で代謝されて中性脂肪になり、そしてさらに残りはブドウ糖に分解されていきます。ですので、太りやすいという特徴もあるのですね。
同じ甘いものだったら一緒というものではなくて、どんな糖分が含まれているかによっても、体内での働き方が変わってきます。果糖(果物)についての誤解なのですが、では果物って果糖が多いから良くないのか?っていうとそれは違います。
果物に含まれている果糖というのは、思っているよりもそんなに量は多くありません。しかも果物の果糖の量を気にするよりも、果物そのものに含まれている酵素やポリフェノール、ビタミン、ミネラルなど非常に体に有効なものが含まれていますので、その少量の果糖を気にするよりも、もっと恩恵があるよということですので、ただ食べ過ぎはダメですが、1日当たり200グラムぐらいの果物であればむしろ積極的に取った方が良い食べ物です。
ちなみに食べ物に含まれている AGEですが、1日で15000KU/日以内に収めたいというような1つの物差しがあります。AGEが多い食べ物には、どのぐらい含まれているのかということですが、例えば牛肉のハンバーガー4876KU、すごい量です。ピザ1枚で6825KU、フライドポテト1522KU、ステーキ6741KU、唐揚げなどの揚げ鶏8750KU、カリカリベーコン11905KU。量にもよりますが、外食で作られている物は高温で調理するものも多いので、家庭で作るものに比べてさらに多いということなのです。
ただ、揚げ物や焼き物、そういうものにクエン酸をプラスしてあげると、このAGE の発生が半減するそうなのです。
AGEの発生を抑制するという意味では酢たまねぎというのが役に立ちます。
何に気をつけたらいいの?
それではどんなことに気をつけたらAGEを発生させない生活ができるのかです。
1つ目
血糖値のコントロールをしっかりする。
低GI食品といって血糖値を上げにくい食品をなるべく多く選ぶことがポイントです。
精製してあるものよりは未精製の方が良い、例えば、白いお砂糖より茶色いお砂糖(黒砂糖)のほうが良い、食物繊維がたくさん含まれているものも、血糖値の上昇を緩やかにします。
先ほどお話しした異性化糖というものも、非常に血糖値を上げやすい糖なので、それもなるべく摂らないようにした方が良いと思います。空腹時に甘いものを食べる、これは一番血糖値が上昇します。朝食も抜いてしまうよりは、朝に野菜を摂っておくと、次の食事にセカンドミール効果と言って血糖値を上げにくいというそのような食べ方もありますので、朝に、サラダとかフレッシュジュースなど軽く摂っておくということも役に立ちそうです。
2つ目
食品中のAGEをなるべく摂らないようにする。
食べ物のAGEというのは、そのままダイレクトに全部、体に蓄積するということではありません。
食べ物のAGEのうち、ほとんどが便や尿によって排出されて10%ほどが血液中から検出されるのです。さらに7%ほどは、蓄積すると言われていますので食べ物からのAGE自体を減らす努力をしていくというのも有効です。
3つ目
酸化ストレスを減らす。
この酸化というのはストレスによっても食べ物によっても、大気中の排気ガスや食品添加物など様々なものから発生するのですが、結局、酸化ストレスがかかることで、さらにAGEが加速して増えてしまうので、なるべく酸化を減らす生活を心がけるということです。
なるべく身体に優しい生活をするのも、もちろんですが、抗酸化物質の多い食べ物を積極的に摂るということも抗酸化になります。オメガ3を摂るというのも有効です。
オメガ3というのは、青魚に含まれるDHA、EPAなどの油です。その他、荏胡麻(えごま)油やアマニ油などのαリノレン酸というものが、オメガ3脂肪酸なのですが、オメガ3を摂ることでAGEの受容体であるRAGEというものを減らすというエビデンスがあります。
ここで、焼き魚はどうなのですか?という疑問が湧いてくると思うのですが、焼き魚の焦げがヘテロサイクリックアミンと言って、発がん性ということで懸念されていましたが、そのヘテロサイクリックアミンの量はごくわずかだそうで、それ以上にお魚を食べるメリット、オメガ3を摂るメリットのほうが、多いということなので焼き魚はなるべく食べた方が良いとされています。
そしてキチンを摂る。キチンというのは不溶性食物繊維で、甲殻類などにも多く含まれているのですが、きのこや海藻、野菜などにも幅広く含まれている不溶性の食物繊維になります。
ここで皆さん素朴な疑問が湧いてきませんか?
では、自然に茶色くなっていくお味噌やお醤油、そして焙煎しているコーヒーや黒ビール、いろいろな食品がありますが、そのようなものはどうなのですか?と感じますよね。私も、それらはどうなのですか?とすごく心配になって調べました。
AGEにも悪玉と善玉があるということで、AGEは100種類以上、いろいろのものがあって、高分子であったり低分子によって、様々な性質があるそうなのです。
すべてが危険だということではありません。その中でもとても危険だという超悪玉がアクリルアミドという、ポテトチップスやフライドポテトなどに含まれているAGEなのですが、そんなに悪さをしないものからむしろ有効なものまであります。
お味噌やお醤油などに含まれているものは、メラノイジンと言って善玉のAGEと言われています。
コーヒー由来のメラノイジンは消化されるとさらに分解されて小さい低分子のメラノイジンという物質になるそうです。
それは焙煎すればするほど、多く増えていくそうで、強い抗酸化作用があるそうです。黒ビールのメラノイジン、そして、赤ワインにもAGEが含まれていますが、それは抗酸化として働くそうです。お味噌やお醤油に含まれるメラノイジンは、腸内環境にとってプラスになる効果があるそうなのです。
今挙げた食品などに含まれるAGEに関しては積極的に摂っても大丈夫ということ
です。AGEも奥が深いし、まだまだわかっていないこともたくさんありますので、今の段階での見解です。
老けない食べ方ルール5つ
それでは最後に老けない食べ方をまとめとしてご紹介します。
1つ目 血糖値を上げにくい食べ方をする。
白いご飯やパスタやうどん、パン食べたいですよね。
そういうときは、オリーブオイルと一緒に摂ると良いそうです。
そうすることで血糖値の上昇が緩やかになるそうなのです。
食物繊維の多いものから食べる、食べ方の順番です。
例えば汁物でもいいし、サラダでもいいし、そういうものから先に食べてあげることで血糖値の上昇が緩やかになります。
おやつを食べるのであれば食後にしましょう。いきなり空腹時に食べると血糖値に響いてしまいますので、お食事の後に食べた方がいいです。
2つ目 焼き物や揚げ物にはレモン汁やお酢をかけましょう。
焼き物や揚げ物、美味しいですよね。食べるなと言われてもそれはやはり、無理だと思います。ですので、ひとつの工夫としてAGEを作らない、半減させる方法としてクエン酸を一緒に摂るというのがポイントです。酢玉ねぎというものを添えていただいてもいいと思います。
3つ目 色の濃い野菜をたっぷり食べましょう。
緑黄色野菜には、さまざまなポリフェノールとかαリポ酸などの抗酸化物質、そして糖化を防ぐような成分が含まれていますので、できるだけたくさん野菜を摂るようにしましょう。
果物はなるべく丸ごと、そしてジュースよりも生で食べるようにしましょう。
ジュースや加工品に多く含まれている果糖ブドウ糖液糖などの異性化糖には注意をしましょう。
最後にお酒が好きな方に向けて私もお酒大好きなので、お伝えしたいのですが、お酒を飲むならば、抗酸化、抗糖化に役立つワインを選びましょう。
ワインは、白でも赤でも良いそうです。量としてはグラス1~2杯ぐらいまでを目処に召し上がってください。
今回は糖化とは何か、そしてどんなことに気をつけたらいいのかということについてお話しいたしました。
糖化をさせないための調理法なども、また次回詳しくお伝えしたいと思います。
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