今回は「腸が変われば病気にならない」
著者 白澤卓二氏の本の要約です。要約をさっと動画で見たい方はこちら、約7分半です。
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「腸が変われば病気にならない」 著者 白澤卓二氏
人間は歳を重ねるにつれて、病気になりやすくなります。そのため私たちは運動をしたり食生活を見直したりしながら、病気にならず健康になるための努力をします。特に食事は、私たちの身体を構成する栄養素を摂取するという観点で、非常に重要な役割を持つと言えるでしょう。
しかしながら、実際はどうでしょうか。現実では同じような食事、そして同じような生活を送っているにもかかわらず、病気になる人とならない人がいます。これはいったいどうしてなのでしょうか。実はこれは本書で説明をする「腸内フローラ」の環境が大きく影響しています。
本要約では、「腸内フローラとは何なのか」という根本的なことから、腸内フローラにはどのような役割があるのか。そして、腸内フローラに秘められた驚きの力まで、詳しく解説していきます。
本要約は以下の三つです。
(1)腸内フローラとは一体何なのか
(2)腸内フローラに秘められた力と役割
(3)腸内フローラを味方につけるための生活習慣
腸内フローラとは一体何なのか
私たちには、体を病気から守る機能が備わっています。細胞の免疫機能、肝臓や膵臓といった臓器の働き、唾液の中の酵素などはほんの一例にすぎず、数え切れないほどの生命活動が私たちの体内で営まれ、それが私たちの体を病気から守っているのです。その中でも、「病気を予防する」という観点で特に重要になってくるのが、この「腸内フローラ」です。
「腸内フローラ」という言葉は、もしかしたら聞いたことのない方もいるかもしれませんが、何も特別な人だけが持っているわけではなく、誰でも腸内に普通に持っているものなのです。この「腸内フローラ」とは一言で言ってしまえば「腸内細菌の生態系」のことです。
私たちの腸内には、100兆~1000兆もの細菌が棲んでいます。それらの細菌は私たちが食べる物を餌にしながら、私たちと共に生きています。
フローラとはお花畑のことを指す語です。つまり、この腸内細菌の集まりが、腸壁で種類ごとにコロニーを形成し、棲みついている様子が花畑に似ていることから、「腸内フローラ」と呼ばれるようになったのです。
この腸内フローラが、近年世界的に注目を浴びてきています。
現代医学では、その発達により数世紀前では信じられないような平均寿命の伸びや、天然痘やコレラなどの数々の病気の死亡率を低下させました。しかしながら、鬱や自閉症、アルツハイマー病などの脳の病気や神経を蝕む病気の治療・治癒に関しては医学の進歩は、比較的遅れていると言わざるを得ません。その問題の解決の突破口となりそうなのが、この腸内フローラなのです。
腸内フローラに秘められた力と役割
では具体的には、腸内フローラは普段私たちにとってどのような役割を果たしているのでしょうか?実は単に腸に限らず、私たちのあらゆる生命活動にこの腸内フローラが関わっているのです。
例えば身近な例で言えば、同じ食事をしていても痩せやすい人と太りやすい人っていますよね。これこそ腸内フローラが及ぼす影響の典型的な例です。腸内細菌には、痩せやすい人の腸に多い「ヤセ菌」と、太りやすい人の腸内に多い「デブ菌」が存在します。腸内フローラ内での、この細菌の比率こそ、個々人の「痩せやすい/太りやすい」といった体質に影響するのです。
さらには、良い状態に保たれた腸内フローラは、様々な病気を防ぐといった効果もあります。がんや糖尿病といった生活習慣病はもちろん、驚くべきなのは鬱やADHA、自閉症やアルツハイマー病といった脳や神経病まで防ぐ効果がある点です。これは、腸内の神経細胞が無数にあり、免疫細胞やホルモンをコントロールするだけでなく、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの80~90パーセントを生成することに由来します。このため、腸は「第二の脳」とも呼ばれ、それに直接作用する腸内フローラの研究が現在進行しています。
腸内フローラを味方につけるための生活習慣
このように、様々な生命活動の鍵を握っている腸内フローラですが、その恩恵を十分に受けるには、腸内フローラを良い状態に保つ必要があります。そのためには、日々の生活習慣が非常に重要になってきます。本要約では、その中でも特に重要な2点に絞って紹介します。
まず1つ目は「グルテンを摂らないこと」です。グルテンとは小麦や大豆、ライ麦などに含まれる物質です。そんなグルテンですが、体内の血糖値を上げて肥満の元になるだけでなく、アレルギーや認知症など、様々な健康被害をもたらす物質です。近年ではグルテンフリー食品も発売されていますので、それを選ぶようにしましょう。
2つ目は「食品添加物を摂らない」ことです。食品添加物の中には、時間が経っても食品を腐らせないようにする保存料がありますが、これには細菌の増殖を抑える働きがあります。これを腸内に入れれば、腸内細菌の繁殖を抑え、良い腸内フローラを形成することを阻害してしまいます。他にも「食物繊維を摂取すること」や「腸内フローラを活性化させるマッサージを行う」ことなど、その方法は多岐に渡ります。そして本書にはその詳細が具体的かつわかりやすく解説されていますので、気になった方は是非一度本書をチェックしてみてください。
まとめ
今回は「腸が変われば病気にならない」を解説しました。腸内フローラは、私たちの体内に存在する腸内細菌の生態系であり、私たちと一緒に生きているパートナーのような存在です。この腸内フローラを良い状態に保つことで、私たちはその恩恵を受けることができます。そのためにはまず生活習慣や食生活を変えることで、腸内フローラの環境は変えることができます。本書のタイトルにもあるように、腸内フローラを良い状態に保つことができれば、がんや糖尿病といった生活習慣病を防ぐだけではなく、脳や神経病の予防にも役立ちます。是非本書をご一読頂き、あなたの健康生活の一助にしていただければ幸いです。
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