今回は「認知症がイヤなら「腸」を鍛えなさい」
著者 新谷弘実氏の本の要約です。要約をさっと動画で見たい方は、こちら、約7分半です。
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「認知症がイヤなら「腸」を鍛えなさい」 著者 新谷弘実氏
認知症対策は、今や世界的な課題です。認知症は、脳の細胞が変性することから生じる病気なので、脳細胞の壊死(えし)を日頃から防ぐために、健康を維持する必要があります。そこで重要な役割を担っているのが、腸です。腸が荒れていると、生活習慣病や精神的な不調、免疫力の低下などリスクが高まります。
本書では、「腸を鍛えることで脳を守る」という視点から、認知症予防の様々な方法を提案しています。平均寿命よりも健康寿命を意識して、サビない身体と頭を手に入れましょう。
本書の要点
- 認知症の最善予防策は、「腸」を若返らせることから始めよう
- 腸の老化は、年齢に関係なく進む
- 人相と同様、腸にもある「腸相」を知る
- 腸環境にも老後にも影響する「食歴」を見直そう
- 腸の若返り術として、体内酵素を増やそう
- 腸によい食べ物は、脳にもよい
認知症の最善予防策は、「腸」を若返らせることから始めよう
健康で長生きの人は「腸」が全然違うということをご存知でしょうか。健康寿命とは、寝たきりや介護を必要とせず、自立した生活ができる期間の長さを示したものです。健康で長生きする人は、この腸がキレイな状態に保たれています。腸は「第二の脳」ともいわれるほど、緊張やストレスといったマイナス影響が身体の不調に繋がります。このとき、便秘や腹痛など腸の働き不全によって、体調に変化が起こります。そうなると、脳にも悪影響が出て、うつっぽくなったり、イライラしたりします。このように、健全な脳力は健全な腸に宿ることが知られています。
腸を健康に保つためには、腸内細菌のバランスが重要です。特に、腸内の様々な酵素を元気にさせることで、免疫力もアップします。例えば、活性酸素は身体の細胞を老化させ、ガンを引き起こしますが、腸内細菌のつくる抗酸化酵素は、この毒を取り除いてくれます。そのため、腸内細菌のバランスを整えて腸の働きを高めれば、脳に送られる栄養も増えて、脳が活性化されます。ただ、ヒトの腸内細菌については、加齢とともに善玉菌が減って、悪玉菌が増えるようになるので、このバランスを崩さないようにすることが、腸の若返りには重要です。
腸の老化は、実年齢に関係なく進む
一般には、高齢になるほど身体が老化して、内臓の状態が悪くなっていきますが、腸の年齢は実年齢と必ずしも一致しないことがわかっています。では、老化の具合をどこで測るのか?それは、肌の状態から判断できるのです。腸内環境が良好な人だと、肌の状態がよく、実年齢よりも若く見えます。また、急に老け込む人というのは、腸年齢が進みすぎとも言えます。
現代社会にはいろいろな病気があふれていますが、ヒトの身体は本来、病気にならないように免疫システムが備わっています。よって、これを崩しているのは、現代人の生活習慣や生活の仕方と言っても過言ではありません。腸に負担がかかると身体の病気だけでなく、うつや認知症といった脳の病気の発症リスクも高まります。脳も含む身体全体を若く保つためには、①身体にとってよい食事・水、②規則正しい排泄、③適度な運動、④休息と睡眠、⑤笑いと幸福感などが大切です。
人相と同様、腸にもある「腸相」を知る
ここで、腸の中の状態の良し悪しを「腸相」と表現します。腸相は、その人の食事と生活習慣の歴史を移す鏡なのです。
筆者は、アメリカ人の腸相を研究する中で、肉食や乳製品中心の食事が腸をかなり汚しているということ、食生活を変えることで腸相は変えられる、という2点を明らかにしました。
日本人の場合も、今や食生活や生活リズムが荒れているので、腸相が悪化しています。腸相が悪いと、排泄がスムーズにいかず、有毒ガスや活性酸素を生じさせます。すると、腸の細胞にダメージがかかるため、ガンや大腸炎、動脈硬化などの生活習慣病につながっていきます。よって、健康でいるためには、子どもの頃のキレイな腸相を取り戻すことが理想的です。
良い腸相は、脳細胞まで元気にするので、認知症のリスクが抑えられます。また、細胞の活動エネルギーを生み出す「ミトコンドリア」の活動をより活発にするため、様々な体内酵素が効率よく働けるようになるのです。腸相を良くすることは、最終的に細胞を若返らせることにもつながります。
腸環境にも老後にも影響する「食歴」を見直そう
口から入る食べ物や水は、細胞の中のゴミを増やし、体内酵素に悪影響を及ぼします。ヒトの体内で働く酵素の大半は、腸内細菌がつくり出しているいるため、健康な身体には、十分な酵素活性があることが欠かせません。言い換えると、酵素が元気に働いていれば、老化を遅らせることも可能なのです。
老化を早める代表例が、肉、酒、たばこです。これらは、解毒作用のときに大量の酵素活性が必要となるため、身体へ負荷がかかりやすいです。また、糖分の過剰は、脳細胞をエネルギー不足に陥らせます。これは、膵臓の酵素が上手く働かなくなり、脳細胞が死滅して認知症の進行を促すリスクがあるためです。コンビニ食などに含まれるトランス脂肪酸にも注意しましょう。
では、腸に良い食べ物はというと、「生命力」「自然」「新鮮」がキーワードになります。これらを満たす食べ物には、酵素が含まれているので、摂取することで腸内細菌がさらに活発に働くことになります。そして、酵素をポイントに食べ物を選ぶと同時に、睡眠の質にも気を付けて、夜21時までに夕食を終えるようにしましょう。
腸の若返り術を知って、体内酵素の活性を増やそう
ここまでは、食べ物や生活習慣に留意して腸内細菌を元気にしようとお伝えしました。もう一つ大切なのは、「心の健康」、つまり、感情が上手くコントロールできることです。腸を大切にしないと、セロトニンやドーパミンなど、身体の行動を司る脳内物質が上手く機能しません。前向きな言葉を意識して、腸にも脳にも良い影響をつくりましょう。
他には、生活習慣の一つですが、昼寝も若返りに欠かせない要素です。睡眠は認知症との関連が深く、目を閉じて身体を休ませるだけでも、体内酵素の消費は抑えられることが知られています。恋をすることも良いですね。恋をするときのドーパミンには、喜びや幸せといったポジティブな感情があるので、誰かにときめくと、幸福度も上がるのです。また、誰かにいつも見られている環境は、緊張や心の張りが脳を刺激して、より若々しくいようと活性化されます。適度な運動も代謝を高めて、体内酵素の活性化を促すのでおすすめです。また、「笑い」もポジティブな感情を生み出してくれるので、腸の健康にもつながります。
腸に良い食べ物は、脳にも良い
筆者は、人々が古来ずっと食べ続けてきた食べ物から知恵を得ており、健康的な食事バランスは「穀物と糖類5」「野菜・果物・きのこ・海藻2」「肉類・魚介類1」であると考えています。特に、日本食はヘルシーフードとして世界中でも定着しているほどですので、多様で新鮮な食材で、栄養バランスをしっかり整えるのには効果的な食事なのです。また、食事内容だけでなく、噛む回数を増やすことで、脳の血流を上げて脳を活性化させることも重要です。他には、良い水を飲むことも、キレイな腸内環境をつくるのには欠かせません。良い水とは、真水であること、還元力のある水であることが条件になっています。ヒトの身体の80%以上は水分で構成されているので、摂取する水の質も高めることで、腸も脳も喜ぶキレイな状態をつくることができます。
最後に、腸の健康を考えるのであれば、「腹八分目」で食事を終えることをおすすめします。というのも、大量の食事は未消化のもとをつくってしまい、毒素の発生しやすい環境を腸につくるからです。食べ過ぎを防ぐためには、野菜から食べることや、朝のファスティングも有効です。とにかく、空腹状態をつくり、腸を休ませることも意識するといいですね。
まとめ
以上のように、本要約では「腸は第二の脳」「腸は心の鏡」といった内容で、数多くの具体例をあげてご説明しました。腸内環境を良くするためには、まず肌の状態をチェックして、腸相を見直しましょう。そして、食事内容や睡眠、適度な運動など、腸と脳をキレイな状態に整えることが大きなポイントです。
本書には、認知症になりやすい人、認知症を食い止める場合、定年後に気を付けることなど、Q&A形式でも、腸健康のノウハウが記載されています。他にも、要約では書ききれなかった医学研究事例も載っているので、是非一度、本書を手にとって読んでみてください。
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