酒粕の魅力
今回は、酒粕の魅力をあますことなくお伝えしたいと思います。
酒粕というのは、清酒を造った際に出るもろみを絞った絞り粕のことです。
材料はお米と麹になります。米こうじを発酵させたあまい甘酒、酒粕とどう違うんですか?という疑問が多いのですが、酒粕というのは、お酒を造る際、全部アルコールになって絞ってしまっているので、糖質が少ないのです。むしろ絞った後のお米の食物繊維とかタンパク質を多く含んでいたりします。
一方、米こうじの発酵した甘酒というのは、お米のでんぷんをブドウ糖に変えているので、吸収しやすいブドウ糖が多いわけです。
ですので、飲む点滴と言われ、疲労回復に役立つ食べ物と言われています。大きく効能を分けると、米こうじを発酵させた甘い甘酒は疲労回復と美肌効果、でも一方の酒粕というのはタンパク質が多くて糖質が少ないのでダイエットに役立つ食品なのです。
酒粕にはレジスタントプロテインという難消化性のタンパク質を豊富に含んでいます。
これは、食物繊維と同じような働きをするタンパク質なので、吸収するというよりは、体の不要な物を吸着して外に排出してくれる効果があるのです。ですので、余分な脂質などを吸着させて外に出してくれるというところからもダイエット効果があると言われ、食物繊維、ペプチドアミノ酸という、タンパク質がさらに分解して細かくなったものです。そういったものやビタミンB群、そして亜鉛、いろいろなミネラルが多いのですが、さらに100種類以上の酵素を作り出しているので、その酵素が、また代謝産物といい、さらに、いろいろな機能性成分を作りだしているのです。そこが酒粕の栄養になります。
酒粕には美肌効果や便秘改善、代謝アップ、高血圧予防、免疫力アップなどいろいろな効果があるのですが、美肌効果という意味ではエチルグルコシドというものとアルファPGという物質が発見されており、コラーゲンを増やしたり、肌の繊維芽細胞を増やすと言われているので、お肌のきめを細かくするということが立証されています。
酒粕にはビタミンB群が多くて、糖や脂質の代謝を促す栄養素がおうおうに含まれています。さらにオリゴ糖や食物繊維が多いので便秘にもいいということです。
先ほどのレジスタントプロテインも同じく食物繊維のような効果がありますので、お腹すっきりという意味では、非常に効果的な食品になります。
麹菌や酵母の細胞膜に含まれる成分が免疫力を高めるといわれています。生活習慣病の予防としては、脳梗塞や動脈硬化の原因となる血栓を溶かすプラスミノゲンという物質を含有していて、それもまたさらに高血圧の予防にも役立ちます。さらにアテノシンという血管拡張作用がある物質が含まれていて肩こりや頭痛、冷え性などの症状も緩和するそうです。
アレルギー症状を引き起こす、カテプシンBの働きを酒粕に含まれるペプチドが阻害し、症状を緩和します。アレルギー体質の改善には継続的にとっていくといいのです。
骨粗鬆症にも役立ちます。
加齢によって骨の分解を促すカテプシンLという酵素が増えてくるのですが、その酵素の働きを抑制する機能性成分を含有しているそうです。
酒粕を使った簡単レシピ紹介
生活習慣病予防、そして美肌、お腹すっきり、免疫力アップ、とにかくいいことづくめの酒粕を毎日すこしずつ手軽に、簡単にとりいれられるようなレシピを今回は4つご紹介したいと思います。
酒粕は、いろいろなタイプがあり、中身は、お酒の絞りかすなので、変わらないのですが、お酒を絞ったあと、板状になって、その板状をそのまま袋詰めした「いた粕」というもの、そしてバラバラになっているフレーク状の「バラ粕」というものがあります。今回用意しているのは、「いた粕」と「バラ粕」の中間みたいなタイプです。あと「練り粕」といってペースト状にしているもの、さらに、「踏み込み粕」といって数か月熟成したものがあるのです。この「踏み込み粕」は、数か月の熟成をして、少し色が、黄金色に変わった粕です。
練り粕の熟成版ということになり、お味噌も一緒ですが、長く熟成させていくと、それだけいろいろな酵素が代謝産物をたくさん作りますので、普通の酒粕もいいのですが、さらにいろいろな効果が高まります。今回は、秋田の鹿角というところにある千歳盛というお酒をつくっている酒蔵さんで、購入しているものです。
私は、この熟成した粕がどうしても欲しいので、この酒蔵さんに毎年行って、分けていただいているのです。この千歳盛というのも健康長寿を祈ってのお名前ということで、ほんと体に良さそうな感じがしてきます。
使い方としては、どう使ってもぜんぜん構わないのですが、クリーミーな練り粕状になっているものは、溶けやすいので、粕漬などには使いやすいです。ちょっと固くなっているものは、ふやかしたりして、溶かして使うという感じです。
味的には少し熟成させているものの方がより深みがあるといった感じです。
レシピ1ー甘酒
基本の甘酒の材料です。
材料:酒粕100g 水400㏄ 甜菜糖大さじ2 おろし生姜小さじ1 塩おこのみで
酒粕の甘酒を作ったことがないという方には、ぜひ、試していただきたいのですが、まず、酒粕とお水が1対4、これは、けっこう濃度が濃いタイプになりますので、お好みで薄めてください。後は、甘味です。今回は、甜菜糖を使いますが、はちみつとかお好みの糖類を使ってください。
そして、おろしショウガです。これを入れることで非常に体が温まります。そしてお塩、ほんの少々、甘さを引き出してあげるために使っていきます。
まずお水を3分の1くらい入れて、まずこの酒粕を溶かすような感じで火にかけていきます。
粕が溶けてきたら、残りのお水を足していきます。後は、お砂糖とショウガとお塩を入れるだけですが、酒粕は、やはりアルコールがあります。固形の状態だと8%くらいアルコールを含んでいるので、これを煮立てることで、5.5%くらいに減るそうなのですが、さらに10分くらい加熱をしていただけると、もっとアルコールがとんで、少なくなるようなので、心配な方は余分に加熱をしてください。
お水が4倍入っていますので、実際にはこの甘酒として飲むときには、1.5%くらいまで減るということです。次にお砂糖がはいります。酒粕自体には糖質が少ないというお話しをしたと思うので、あとは、ここで入れる糖分の量によって糖質の調整ができます。
おろしショウガが入ります。これもお好みですが、ちょっとショウガを入れてあげるとじんわりと体が温まります。最後にお塩です。隠し味として、一つまみ程度、加えてあげると甘さがよりひきたちます。
レシピ2ー甘くない塩甘酒
甘くない甘酒の材料:酒粕100g 水400㏄ だしパック おろし生姜小さじ1 塩適宜
続いて、甘くない塩甘酒を作ります。甘酒というより塩酒という感じですが、酒粕です。そしてお水、この割合は先ほどとおなじ1対4になります。さきほどのものは甘くするためにお砂糖などを用意しましたが、今度はお出汁を使います。今回はダシパックですが、ダシの素やお好みのダシを使ってください。
そして、ショウガ、これはお好みです。お塩が欲しかったら、少しお塩を入れてあげます。先ほどと同じで、酒粕を少し、細かくして入れておきます。そして3分の1くらいの水分でまず酒粕を溶かしていきます。だいぶ、ふやけてきました。柔らかくなってきたので、ここでしっかりと混ぜて溶かしてしまいます。残りの水分を加えていきます。そしてダシパックです、こちらは中身ごと入れてしまいます。塩分が含んでいるものもありますので、入れる量はそのダシの様子を見ながら加減をしてください。お塩がもし入っているものだと、入れすぎてしまうと塩気が強くなりますので、気をつけてください。
今回は、少し塩味がついているような感じですので、もうお塩は足しません。
これだけの味付けにしていきます。ショウガもお好みで入れてください。
レシピ3ー酒粕入りのお味噌汁
材料:普段のお味噌汁の材料 味噌 酒粕はお味噌の半分もしくは同量
続いて、酒粕入りのお味噌汁です。粕汁というようなお料理もあるのですが、そこまで具材にこだわらずに、普段のお味噌汁に少し酒粕を足してあげるというものになります。お味噌汁をこのようにお出汁で具材を煮て、いよいよお味噌を入れるよという段階で酒粕も一緒に入れてあげるのです。酒粕はお味噌汁に入れるお味噌の量に対して、半分か同量くらい入れていただいても大丈夫です。まず普通にお味噌で味をつけます。味噌はあまり煮立たせてしまうとよくないので、火を止めます。お味噌を溶かし入れて、最後に酒粕です。今回は、こちらの熟成させた「練り粕」を入れてみたいと思います。
今回は、お味噌と同量くらい使っていきます。こちらも、熟成させることによってちょっと茶色っぽく色がついてきます。これだけで、いつものお味噌汁が酒粕をプラスした状態になります。いつものお味噌汁のちょい足しで、お味噌汁がさらに栄養たっぷりになります。
レシピ4ー酒粕のヨーグルト風
材料:酒粕50g 豆乳1カップ バナナ1本 白ごま大さじ1
最後、酒粕のヨーグルト風です。
スムージーというには、少しとろみが強いので、あえてヨーグルト風と言わせていただいております。こちらの材料を混ぜるだけです。生の酒粕を使いますので、熟成タイプの栄養満点の酒粕をご用意させていただきました。バーミックスで混ぜるだけなので、全部、材料を入れていきます。次に、豆乳です。今回は、濃度の濃いタイプを使っています。バナナが今回、甘味の代わりになりますので、お砂糖は使いません。熟成させた「練り粕」です。この熟成したものは、普通のスーパーでは、なかなかお目にかかることがないので、酒蔵さんなんかを覗いたときに、こういったものを探してみていただくといいかなと思います。ネットでも買うことできますので、気になる方は、ぜひ、問い合わせてみてください。そして最後にコクをプラスするのに白ごまのすったものをいれます。まるでヨーグルトにようなテクスチャーで、生の酒粕なので、酵素や麹菌もそのままです。
あとがき
今回は私が大好きな酒粕の魅力を皆さんに少しでもお伝えしたいなと思う企画でした。
今回、「練り粕」で熟成しているタイプの酒粕がでてきましたが、千歳酒造さんのものです。千歳酒造さんのお酒も美味しいのですが、美味しいお酒から出来た酒粕だと思うと、またまた一段と美味しさが増します。酒蔵をめぐりながら、酒粕を見つけてお料理をするというだけでも、それも楽しいひとときかなと思います。
酒粕のヨーグルト風をお味見してみます。バナナの甘味がほんのりあるので、ほんとに優しい甘さではあるのですが、そんなに酒粕という感じではなく、ヨーグルトだよって言われればそうなんだと思ってしまいそうな感じです。発酵食品が入っているので、奥行きのある味になっています。これはお肌にも良さそうです。そして皆さんが気になっていると思う、塩甘酒、塩酒、出汁酒と言ったほうがいいような、お出汁が入った甘酒の塩味タイプになります。
こちらは、お砂糖はなくてぜんぜんいいです。むしろ、糖分をとらないで、この栄養をとりたいという方に、お出汁でいただくタイプは、ぜひおすすめです。
酒粕は睡眠を誘う効果もあるらしいので、寝る前にこういった出汁で作った酒粕の飲み物もいいと思います。今回は、本当に手軽に酒粕をとりいれるためのレシピをご紹介しましたが、今度はぜひ簡単なスイーツなんかに応用できる酒粕の使い方をご紹介したいと思います。
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