料理研究家-関口絢子の体にいいレシピ

酒粕の特性とその効果

料理研究家-関口絢子の体にいいレシピ

酒粕の便利な活用方法

今回は便利な活用法についてご紹介していきます。


酒粕というのは蒸したお米に麹菌お酒の酵母、そしてお水を入れて糖化と発酵を同時に行っていくのです。そして、もろみというおかゆ状のものができるのですが、それを絞るとお酒になり、絞って余ったものが酒粕として存在します。
酒粕というのは約25%ほどできるそうです。まさに酒粕は生きた発酵食品として美容健康に様々な恩恵を与えてくれるとても素晴らしい健康食品です。

今回は具体的な活用法として酒粕の特性を理解することで、どのように活用していくのが、いいのかということについて、具体的なレシピと一緒にご紹介していきます。
酒粕というとアルコールがあるので心配という方や、加熱をしてしまったら栄養はどうなのとか、そのあたりの疑問なども解決してまいります。

酒粕は、本当に素晴らしい栄養がぎゅっと詰まっているのですが、それを白米や玄米とどう違うのかちょっと比較をお伝えしたいと思います。
まず必須アミノ酸です。必須アミノ酸、9種類あるのですが、白米に比べて500倍含まれているそうです。そしてビタミンに関しては、ビタミンB 2は玄米の14倍ビタミンBb 6は玄米の4倍含まれているそうです。どこを切り取っても普通のお米よりも、発酵したことで素晴らしい栄養素がどんどん生まれていく、それが発酵食品の一番の魅力なのです。

酒粕の特性

今回はその酒粕の特性を4つご紹介します。
まず一つ目は酒粕というのは非常に保存性が高い食品である、酵母が作り出すアルコール、そして乳酸菌が作り出す乳酸が他の菌を抑制することによって保存性が増すのです。

2番目、生きた酵素が含まれているので消化吸収を助けます。
加熱をしてしまうと酵素は失活してしまうので生の状態のケースになります。
この生の状態で酵素が生きているとお肉を柔らかくするのにも役立ちます。

3番目、お料理に旨味やコクをプラスすることができる。酒粕にはアミノ酸、有機酸、ミネラルなど、旨味成分がたっぷり含まれている食材です。酒粕の味というよりは、旨味をプラスする調味料として使うこともできます。今回はこれらの特性を上手に活用して、お料理はもちろんスイーツのレシピなんかもいろいろご紹介したいと思います。

酒粕ペーストの作り方

まず酒粕を手軽に取り入れたいということで、酒粕ペーストの作り方をご紹介します。
これは、アルコールを飛ばして使うこともできるので、ちょっとアルコールが苦手という方にもオススメです。さらにこちらは調味料のような感じでも使えますので、普通にお酒の代わりとして臭み消しなどに使うこともできるのです。さらにコクや旨味とか風味をプラスするような働きもあるし、とろみつけとかホワイトソースの代わりなんかに代用することもできます。
今回は200グラムの酒粕と1カップ(200cc)のお水を使っていきます。酒粕を溶けやすいように小さくちぎっておきます。そして同量のお水を加えて10分~15分ほど浸しておきます。
火にかけることでアルコールも飛んでいくのですが、このように加熱をしてしまうと酵素自体は、壊れてしまうのでお肉を柔らかくする効果は失われてしまいます。
ただ、もっと別な用途で手軽に幅広く使うことができるので、このようにしておくととても、便利です。
中火に2~3分くらいするとすっかりペースト状になってしまうのですが、アルコールを飛ばしたいのであれば10分ぐらいコトコトと加熱をしながら、アルコールを飛ばしていきます。
清潔な容器に入れ冷蔵庫で1週間程度保存可能です。お鍋に残った酒粕は水で流しながら甘酒にできます。なすの味噌炒めにプラスすると、健康的でとってもおいしいです。
酒粕ペーストはマイルドな味わいなので、手軽に料理に入れて発酵食品が取り入れられます。

酒粕ペーストのドライフルーツ漬け

酒粕ペーストのアレンジとしてドライフルーツを漬け込むというのを、やっていきたいと思います。
酒粕ペーストのドライフルーツ漬けになります。
とにかくお好きなドライフルーツを酒粕ペーストに漬けていくだけです。
容器に少し、ペーストを敷いておきます。
ドライマンゴーと、プルーンを使ってみたいと思います。
今回は、ドライフルーツを使っていますけれども、干物とか塩鮭なんかを漬けこんでいただくと、ちょっとお酒の風味が効いて美味しい粕漬けになります。
全体がしっかりと見えなくなるような感じで、ペーストを乗せてあげるとしっとりと仕上がります。
この状態で冷蔵庫で3時間以上漬けておきます。酒粕もほんのり甘くておいしいです。
お好みのドライフルーツでお試しください。

お肉を柔らかくしっとりさせる活用法

材料:保存袋の練り粕40g、味噌40g、甜菜糖大さじ1/2

酒粕には、お肉を柔らかくするという特性があります。
よく塩麹漬けにするとお肉が柔らかくなる、なんて言われていますけれども、あれは酵素が生きている状態でないと全く意味がありません。
塩麹を買ってきてお肉をつけとけば、柔らかくなると思っていらっしゃる方、これは大間違いです。
売っている塩麹というのは単なる調味料です。
もちろん発酵食品なので体にはいいのですが、そのあたりは、まったく期待できないのです。
今回はこのまだ酵素が生きている練り粕とかを使っていきます。
酒粕ペーストにしてしまうと加熱をしてしまっているので酵素が壊れてしまっている可能性もありますのでお肉を柔らかくするための効果に関しては、この生の状態の酒粕を使っていきます。
酒粕の効果でお肉がしっとりと仕上がることを期待して、ちょっとパサつきやすい鶏の胸肉を使いたいと思います。酵素の力が届きやすいようにちょっと薄く切っておきます。
大きな塊でゆっくり加熱をして、ギリギリのところでという感じで、やっていかないとちょっと硬くなってしまうのですが、今回は柔らかくする効果ということでお肉をあえて一口大に切ってしまいます。
練り粕と言ってペースト状になって売っている酒粕です。同量のお味噌です。

お好みで少し甘味を加えます。今回は甜菜糖を使いました。これは入れても入れなくても結構です。
こちらを、よく混ぜ合わせます。なんとなく全体が混ざりましたら、ここに鶏胸肉を漬け込んでいきます。
しっかり馴染ませ冷蔵庫で3時間以上つけておきます。
弱火でじっくり蒸し焼きにします。途中で返して両面蒸し焼きにし、酒粕効果でしっとりジューシーな焼き上がりになります。ヘルシーな鶏胸肉がとてもおいしく、いただけます。冷めてもおいしいのでお弁当にも使えます。

酒粕についての素朴な疑問

酒粕についての素朴な疑問についてお答えします。
よくいただく質問の中で「酒粕を加熱してしまうと、麹菌や酵素がみんな壊れてしまうのではないですか?それでは全く意味がないのではないですか?」というご質問をよくいただくのですが、ここでもう一度、発酵食品がなぜ体にいいのか、酵素とか麹菌というのは、どうなのかということについて少しお話をしたいと思います。
まず発酵食品というのは何がいいのかというと、酵素や微生物が体にいいのではなくて、それら微生物や酵素が作り出した代謝産物、それこそが機能性成分であったり、ビタミンであったり、私たちの体にとっては、とても重要なものなのです。発酵することで細かく栄養素が分解されるのです。
ですので、消化吸収にいい食べ物になる、私たちの腸内細菌の喜ぶものがそこにたくさん含まれているという事が一番の醍醐味になります。
加熱をしてしまって微生物や酵素が壊れても代謝産物というものが残りますので、発酵食品に関してはその酵素というものにとらわれずに普通に加熱をしたり、色々な調理に使って、常日頃からとれるように心掛けたほうがいいのです。
酵素単体で摂っても全く意味がありません。酵素というのは単なるタンパク質です。
酵素が届くからダイエットに良いとか、健康になる、そういうことではないのです。
ただ酵素を含んだ食べ物を摂るとその食品自体が分解されやすくなって、消化吸収を助けるという意味で利点はありますが、酵素自体が私たちの体に直接働きかけるということはありませんので誤解ないようにしてください。
微生物が死んでしまうということでは、その死んでしまったものが腸内細菌のエサになるので、それはそれで腸内環境を整えるのに役立つのです。酵素というのはあくまでも化学反応を起こさせる触媒なのです。
それ自体が栄養素ということではありません。そして化学反応を起こして作られたものこそが、私たちの体にとって有益な物質と言えるのです。

レシピ紹介

レシピ1-酒粕のレアチーズケーキ

続いて美味しく酒粕を食べたいということで本当に簡単な混ぜて冷蔵庫で冷やすだけの酒粕のレアチーズケーキをご紹介します。
今回は、ちょっとヘルシーバージョンで作ってみたいと思います。
材料ですがカッテージチーズこれはクリームチーズの代わりなので普通にクリームチーズを使っていただいても結構です。
そして酒粕、今回は練り粕というものを使っていきます。もし、アルコールが苦手な方は酒粕ペーストを使ってください。
そしてお砂糖、ラカントを使います。ラカントというのは糖質ゼロのお砂糖なのですが、なんでもけっこうです。お好みの砂糖を用意してください。
それからヨーグルトゼラチンパウダーになります。
あと、土台に使うクッキーなんですが、今回はそばぼうろで、作ってみたいと思います。
お好みのクッキーを探してください。まず30cc のお水にゼラチンパウダーを振り入れて、ふやかします。ふやかしたゼラチンは電子レンジで20秒くらい加熱をして、溶かしておきます。
このまま少し放置しておきます。
そして、そばボーロです。粗くつぶしていきますので、麺棒などを用意していただきます。
ちょっとザクザクとした状態ですけれども、粗くつぶしました。今回はガラスの器を使っていきますので、ここに砕いたクッキーを入れておきます。
ゼラチンパウダーの方もふやけて固まりましたので、電子レンジで溶かしていきます。
酒粕が入ります。お砂糖が入ります。ヨーグルトです。あとはひたすら混ぜるだけです。
今回は、ラカントを使っているのでちょっと色が、茶色くなってしまいましたけれども、これはお好みのお砂糖で大丈夫です。
溶かしたゼラチンが入ります。先ほどの型の中に流していきます。
このサクサクをうまく上のほうに持ち上げるようにしながら全体に広げていきます。
あとは、冷蔵庫に入れて冷やすだけです。

レシピ2-酒粕のビター生チョコ

酒粕をおいしく手軽に食べたいということで酒粕のビター生チョコをご紹介します。
こちらも混ぜて冷やすだけで手軽にできるスイーツです。
材料は、ビターチョコです。これはもちろんミルクチョコレートでも構わないのですが、ビターチョコには色々なポリフェノールとか、たくさん体にいい成分が含まれています。
そして生クリーム酒粕ココアパウダーになります。
まずチョコレートを冷やし固める器を用意します。だいたい材料は、全体量を見てあんまり小さすぎても大きすぎても、ちょうどいい形になりにくいので全体の材料がだいたい2センチぐらいの高さにくるぐらいの器を用意してください。
アルミホイルホイルを器にしきつめておきます。お湯を沸かしておきます。
そしてチョコレートを湯煎で溶かしていきます。チョコレートを温めている間に、こちらの生クリームを電子レンジで温めておきます。あったかくなった生クリームを入れていきます。
生クリームは湯気が出るぐらいの温度にしておきます。
生クリームの液体のあたりをうまく利用して酒粕を入れて溶かしていきます。
今回は練り粕を使っていますけれども、アルコールが苦手という方はアルコールを飛ばした状態の酒粕ペーストを使っていただいても結構です。
酒粕がだんだん溶けてきましたので、全体をなじませていきます。
あまり薄くしてしまうと、切った時に薄っぺらく仕上がってしまうので、ある程度の厚みを残すようにして、平らに伸ばしていきます。あとは冷蔵庫で冷やし固めていきます。

あとがき


今回は酒粕の便利な活用法についてご紹介してきました。
酒粕の特性というのは、いろいろあります。生で使うことのメリットという意味では酵素によるお肉を柔らかくする効果、あとは味的なものとして、やっぱり生で摂る方が風味が良かったりします。
ただアルコールが苦手な方が諦める必要もありませんので、自家製の酒粕ペーストをつくってアルコールをしっかり飛ばしてあげれば、しっかりそこに含まれる代謝産物は、とれますので是非活用をしてください。手軽に酒粕を取り入れて健康と美容に役立てていただきたいと思います。

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