今回は「こわい冷え性」の要約です。
著者は医学博士の星崎 東明(ほしざき はるあき)氏です。
女性に多くみられる冷え性をはじめ、冷えの自覚症状はないのですが、深部体温が低い「隠れ冷え」とよばれる冷えを抱える人が増加しています。
冷えを診る専門医によれば、この隠れ冷えを含めると、男女問わず国民の7割が冷えを抱えている状態なのだそうです。
一般的に人間は深部体温が37度前後ですが、現在増加している隠れ冷え性の人は深部体温が34~35度しかないのです。深部体温が1度下がると基礎代謝は約12%、免疫力は約30%低下してしまいます。
冷え性の放置は、いろいろな疾病や健康被害につながり、今回は、この「冷え」について説明しています。
本要約の要点は全部で5つです。
- 日本人女性は冷え性が多い
- 男性にもある冷え性
- 冷えは万病の元
- 冷えの対策
- ショウガは体を温める
日本人女性は冷え性が多い
冷え性という病名は、外国語医学書にも、それらの直訳の多い日本の医学書にも、まったく見当たりません。しかし私は「冷え性」ですと訴える人が日本人に多く、特に、日本女性の「持病」といってよいほどです。
実際は病名というより、一連の症候群につけられたものなのです。
医師による統計では、女性の半分から7割位が冷え性で悩んでいるといわれています。
まるで、女性特有の病気のように考えられ、俗に「血の道」などという、変な名前をつけられています。血の道に関していえば、内臓に充血するときは、反射的に皮膚血管が収縮し、逆に皮膚血行の盛んなときは内臓のほうが貧血する仕組みになっています。
女性は、子宮や卵巣など内部性器がデリケートで、これが炎症を起こして充血すると、下腹部や足、腰が冷えて、いわゆる血の道になります。
さらに、冷え性が女性に多い理由としては、血管が細い、筋肉量が少ない、心臓のポンプ能力が弱い、自立神経のバランスが崩れやすい、骨盤の形が丸いなどがあげられます。
寒がりと冷え性の間には厳密な区別は、ありませんが、一般の通念として、寒がりは病気ではなく、寒さが人一倍体にこたえるのを指しています。
一方、冷え性の方は、体のどこかに異常や病気があって、体の一部分や数か所が冷える場合をさすようです。冷える部位は腰が最も多く、次いで足、手、ふくらはぎなどで、冷え性のままで放置しておくと免疫力が下がったり、代謝が悪くなったりして病気の原因となります。
東洋医学の考え方の場合、血管を収縮・拡張させて体温を調節している、自律神経が乱れると、血液の循環が悪くなり、冷えを感じるということです。
つまり、「冷え」そのものは病気ではなく、自立神経失調症のひとつの症状と考えられています。
男性にもある冷え性
冷え性は女性特有かというと、そうでもなく、男性にもあります。
例えば、胃腸炎などで腹部臓器に充血するときなどがそうです。
もちろんこの場合、栄養素摂取の不適正も原因になっています。
年齢的には、代謝の低下する高齢者に多く、そのほか、思春期や更年期など、ホルモンのアンバランス、自律神経失調の場合にも多発します。
季節的には、冬期に多いのですが、それよりも季節の変わりめに症状を訴える人があり、夏にも決して少なくないのです。
冷えの原因は、複雑で、一種の文明病、つまり不適切な生活環境(過度の冷房)、不規則な生活習慣、質と量を誤った栄養の摂り方、疲労、複雑な対人関係などからくる心因性ストレスなどがもつれ合って起こったりもします。
治療には、栄養素の質や量に配慮し、ホルモン臓器の刺激になるタンパク質が欠乏しないように心がけ、入浴や休養、適度な運動も大切です。
冷えは万病の元
現代人は「冷え」に悩まされており、冷えはさまざまな不調が起こる前兆であり「冷えは万病の元」ともいえるのです。
冷えが招く病気としては、次のことが大まかにあげられます。
- 免疫力の低下
体温が1度下がると免疫力が約30%も低下し、体が冷えると風邪をひきやすくなったり、ガンに対する抵抗力も弱ってきます。 - 内臓機能の低下
体の機能を正常に保つために必要な酵素が最もよく、効率のよいように働いてくれるのが体温、37度が最適で、体温を下げないことが大切です。 - 不妊症や生理不順、生理痛などになりやすくなる
疲れやすい、肌荒れ、腰痛、下痢、膀胱炎、肩こり、目の疲れ、頭痛、おなかの張り、などといった症状に悩まされることになります。
冷えの対策
冷え人口の増加を背景に、体を温めることの重要性に理解を示す医師も増加しています。実際、体を温めることは、免疫力を向上させてくれることから、ガン治療において、代替医療として温熱・温浴療法を導入するクリニックも増えています。
冷えの対策としては、できるだけ温かいものを食べる、朝食は摂る、下半身を温める、夏は冷房の場所では上着を着る、室内の温度差は5度以下にする、入浴はぬるめの長湯にする、電気毛布よりも、湯タンポやアンカがよい、生活習慣として体を動かす、アルコールを飲むのなら、熱燗かホットワインにする、タバコは控える、甘いものは食べ過ぎない、冷たいものは摂らない、無理なダイエットはしない、などのことがあげられます。
ショウガは体を温める
ショウガは熱帯アジア原産で、インドや東南アジアなどでは古くから、胃腸機能の回復や、下痢治療などに用いられてきました。
特に、近年では、食生活の変化や生活習慣などにより、現代病ともいえる「冷え」に悩まされる人の割合が女性を中心に年々増加しており、ショウガが持つ「体を温める機能性」が注目を集めています。
ショウガには、約250種の辛味成分があるといわれ、その代表格となるのが、ジンゲロールとショウガオールです。
ジンゲロールは、主に生のショウガに多く含まれている成分で、末梢の血管を拡張させ、血行促進の働きが認められています。また、黄色ブドウ糖球菌やピロリ菌などに対する殺菌、抗菌作用が認められているのです。
ショウガオールには、血管を収縮させる、プロスタグランジンの働きを弱め、血管拡張作用があるので、主に胃腸など、内臓の体内中心部を温める効果があります。
1990年にアメリカ・国立ガン研究所(NCI)は、従来から行われている抗ガン剤、放射線、手術の三大療法によらないで、全く新しい栄養療法の研究に着手し、ガン予防プロジェクトをスタートさせ、ガン予防に効果的な食品や成分、約40種類を研究して重要度に応じて積み上げられた3層からなる図をつくりました。
そのトップにショウガが位置し、ガン予防の効能がトップクラスであることがわかりました。
また、ショウガは糖化を防ぐ作用もあるといわれています。糖化とは、私たちの体内にあるタンパク質と食事で摂取した糖が結合することで、体内に終末糖化物質(AGEs)として蓄積されていきます。糖化反応は肌のくすみや弾力低下による、たるみ、しみ、しわをはじめとした老化現象だけでなく、眼、脳神経、血管、血液、骨などにも悪影響を及ぼします。特に糖尿病の合併症と密度に関係しています。
ショウガは美肌を損なう三大要因である「糖化」「酸化」「炎症」のすべてを抑える作用がある他、糖尿病の合併症の予防に役立つため、美容と健康のために日常的に摂ることをおすすめします。
まとめ
冷え自体は病気ではありませんが、冷え性がいろいろな疾病や健康被害につながることがおわかりいただけたでしょうか?運動不足、ストレス、栄養バランスなど不規則な生活習慣によっても起こります。体を温め、免疫力を高めることが非常に大切です。
体を温めるのに最適なショウガの効能は、上記に述べた以外にもたくさんあります。その効能についても具体的に記載されています。また、ショウガ以外の食べ物でも体を温める食べ物はたくさんあり、具体的な食べ物の一覧も記載されています。冷え性は寒がりと片付けるのではなく、冷え性のままでは、病気の原因にもなりかねませんので、興味があればぜひ一度手にとって読んでみてください。
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