腸に関する本のブログ

自分の腸を見てみたい(藤田紘一郎氏)要約

腸に関する本のブログ

今回は『自分の腸を見てみたい 免疫博士が生涯をかけて伝え続けた「腸と免疫」の話』著者「藤田紘一郎(ふじたこういちろう)」氏の本の要約です。

皆さんは、感染症から身を守るために普段からどんな対策をしていますか?

マスクをつけたり、しっかりと手洗いうがいをしたり、アルコール消毒をしたり。

もしくは、もっともっと身の回りを清潔に保とうと、除菌スプレーや消臭剤を使っているかもしれませんね。

ですが、「清潔が大事」だと思って必要以上に除菌をしてしまうと、かえって病気になってしまうかもしれません。

なぜなら、除菌をしすぎると人の健康に味方をしてくれる身の回りの細菌まで殺してしまい、結果として免疫を自ら下げることに繋がってしまうからです。

意外かもしれませんが、目に見えない身の回りの細菌は人の免疫に欠かせない存在です。

そしてその免疫の秘密は、腸の中にあるかもしれません。

今回の要約では、そんな細菌と腸と免疫の関係について解説します。

本書の要点は次の3つです。

1. 極端なキレイ好きは免疫力を下げる

2. 免疫力の7割は腸でつくられる

3. 発酵食品で自然免疫を高める

1. 極端なキレイ好きは免疫力を下げる

まず初めに皆さんに伝えたい本書のメッセージは「極端なキレイ好きは、逆に免疫力を下げる原因になってしまう」ということです。

多くの方は、子どもの時から「汚いものに触ったらダメ」とか「身の回りをキレイに保ちなさい」と親に言われて育ってきたと思います。

しかし冒頭でも説明したように、「清潔が大事」だと思って必要以上に除菌をしてしまうと、免疫力が下がってかえって病気になってしまうかもしれません。

極端なキレイ好きが免疫力を下げてしまうということは、私たちの本能、特に赤ちゃんの本能にも備わっています。

少し想像してみてください。

赤ちゃんって自分の指やおもちゃ、床、自分の身の回りにあるものをなんでもなめたがりますよね。

どうして赤ちゃんは、なんでもかんでもなめたがるのでしょうか。

それは、赤ちゃんはホコリや土に含まれている土壌菌と呼ばれる細菌に加え、周囲にいる菌を体内に取り入れようとしているからです。

こうして取り入れられたさまざまな菌は、腸粘膜状のIgA抗体と呼ばれる免疫システムによって「腸に棲まわせて良いか」が選別されます。

そうして、選ばれた細菌たちだけが腸に棲みつくことになり、「腸内フローラ」と呼ばれる腸内細菌叢をつくります。

腸内フローラは、多種多様な細菌の数が豊富にいるときには働きを活性化させ、免疫力を高め、丈夫で風邪のひかない元気な身体をつくりあげます

逆に、子どもの時からキレイな環境に身を置きすぎたり、除菌ばかりしてキタナイものを徹底的に遠ざける生活をしていると、腸内フローラにいる細菌の数が少なくなり、免疫力の低い風邪をひきがちな身体になってしまうのです。

2. 免疫力の7割は腸でつくられる

著者の藤田紘一郎さんは、2021年に亡くなるまでの約30年間腸内細菌の研究を続けていました。

そして長年の研究で分かったことは「免疫力の7割は腸でつくられる」という驚くべき事実です。

もう少し詳しくいうと、全身のリンパ球の約70%が腸管に集中しており、抗体全体の70%が腸管でつくられるということが明らかになっているのです。

そして、この免疫力の強化に働いているのが腸内細菌です。

腸内細菌は成人で約200種類以上、100兆個以上もいて、重さにすると約2キログラム以上になるといわれています。

これらの豊富な腸内細菌は、病原体を排除する免疫機能を強化する役割のほかに、消化を助けたり、ビタミンを合成したり、幸せホルモンであるドーパミンやセロトニンの合成をしたりと、さまざまな役割を果たします。

このような腸内細菌の働きがあるため、腸が原因と考えられる病気は脳から心臓、そして関節まで、あらゆる部位に及びます。

まさに腸の不調や腸内バランスの崩れは、万病を引き起こすというわけです。

しかしこれは逆に言えば、腸内細菌が活性化するような食生活や習慣をつけることで、心身ともに良い影響を与えることができるということでもあります。

つまり腸の状態、もっと言えば腸内フローラの状態を良好に保つことで、いつまでも若々しく、心身ともに健康でいることは可能であるということです。

3. 発酵食品で自然免疫を高める

では、腸内フローラの状態を良好に保つためには、具体的にはどのような食事を心がければ良いのでしょうか。

結論は至ってシンプルで「発酵食品」を食べることです。

発酵食品の代表例としては、塩麹やしょうゆ麹、酢、味噌、しょうゆ、納豆、漬物、日本酒、甘酒、チーズ、ワイン、かつおぶしなどが挙げられます。

長崎大学とネオファーマジャパン株式会社の2021年の研究では、「発酵食品に多く含まれる成分に、新型コロナウイルスの増殖抑制を期待できる」という非常に興味深い発表がありました。

この成分は「5 – アミノレブリン酸」、通称「5 – ALA(ファイブアラ)」と呼ばれる成分であり、日本酒や納豆などの発酵食品に多く含まれる天然のアミノ酸なのです。

この5-ALAに加え、発酵食品には食べることで自然免疫を高めるという効果もあります。

自然免疫は体内をパトロールし、悪い菌を排除する機能がありますが、この自然免疫のシステムは適度に微生物が侵入する環境の方が強化されます。

これは人間の世界で考えてみるとよくわかります。

パトロール体制が強化されている中に極悪の人間が入ってきても、直ちに捉えることができます。

ところが、敵が全く入ってこない平和な環境では、パトロール部隊ものんびりしてしまい、いざ強敵が侵入してきたとしても排除する機能が十分に働きません。

つまり、この自然免疫のパトロール機能を高めるためには、「チョイ悪菌」がちょこちょこと入ってくる程度の環境が最適なのです。

そして日本の発酵食品の多くは、カビの仲間である麹菌を使って発酵をおこし、その過程で土壌菌が加わりどんどん増えていきます。

このように発酵食品を食べて、適度に「チョイ悪菌」を体内に取り入れることで、自然免疫力は高まり、病気にかからない健康な身体に保つことができるのです。

まとめ

いかがでしたか。

健康を保つためには細菌と腸、そして免疫の関係が非常に重要になってくることがわかりましたね。

コロナ禍では、ウイルスを排除するために感染対策を徹底するように強く言われます。

確かにそれも大事なことではあるのですが、著者は「ウイルス対策にはアルコール除菌よりも自らの自然免疫を高める方がはるかに重要」だと考えていました。

体の健康を保ち、いつまでも若々しく過ごすためには、発酵食品をたくさん食べて積極的に土壌菌を体内に取り入れ、自分の免疫力を高めていくことが大事なのかもしれませんね。

Follow me!

Twitterでフォローしよう
PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました