今回は「なぜ油をかえると長生きできるのか」著者藤田 絋一郎(ふじた こういちろう)氏の本の要約です。
現代人は、不覚にも悪い油脂を大量に摂取する食生活を送っています。そのことが、がんや認知症、生活習慣病などの「病名はわかるのに治らない」大病の罹患者を増やしています。
では、体に良い油、悪い油の違いとはどこにあるのでしょうか。
病気を遠ざけて若々しくあり続けるには、どんな油を選んだら良いのでしょうか。本書ではその違いについて述べられております。良質の油を活用することは、今日からできる確実で簡単な健康法です。油をかえるだけで体は驚くほど軽やかになり、腸も脳もいきいきと活動を始めます。
本書の要点
1.「病気になる油」を食べていませんか?
2.長寿の秘訣は、油をうまく使うこと
3.コレステロール・中性脂肪は悪くない
「病気になる油」を食べていませんか?
油脂は人の生命活動に欠かせない栄養です。しかし、誤った油脂を摂取してしまうと、その油脂が生命を脅かすことになります。人体を構成する約60兆個の細胞膜が悪い油で作られることになりますし、心身のエネルギーの原料ともなるからです。
悪い油が関与していると疑われている病気はさまざまですが、代表的なものは、認知症、うつ病、脳梗塞、心疾患、動脈硬化、糖尿病、肺炎、肝炎、がん、肥満、関節痛、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などがあります。日本ではこの半世紀の間に、油脂の摂取量が3倍にも増えました。その大半が、体に悪い油なのです。そんな体に悪い油を悪いとは知らずに食べている人も多いのではないでしょうか。
この後体に悪い油の一例を紹介いたしますので、今後の食生活の参考にしてみてください。
例)マーガリンとバターをめぐる、こんな誤解
マーガリンは、この世で最も悪い油の1つです。マーガリンを食べるくらいなら、バターを使った方がマシです。バターは、肉と同じく動物性の脂が豊富です。動物性の脂を摂取していると、「体内のコレステロールが増え、心筋梗塞や脳梗塞を起こす」と誤解されました。そこで、コレステロールを含まない、植物性から製造されるマーガリンが注目を浴びたのです。
ではなぜ、マーガリンは体に悪いのでしょうか。理由は2つあります。1つ目は、「リノール酸などオメガ6脂肪酸」を主体とする油が含まれているからです。現代病の多くの原因がこの油です。2つ目は、「工業的に作り出されたトランス脂肪酸」が含まれているからです。このトランス脂肪酸は、「血中の悪玉コレステロール値を上げる」という作用があるのです。
長寿の秘訣は、油をうまく使うこと
意識的に摂取した方が良い油は、「オメガ3脂肪酸」です。
現代人の食生活は、リノール酸などオメガ6脂肪酸に大きく偏ったものです。オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取比率は、1対4が理想と言われています。
オメガ3脂肪酸のすごい効用は次の内容が挙げられます。
- 細胞膜の質を向上
- 血液サラサラ、血流改善
- がんの予防
- アレルギー症状の緩和
- 生活習慣病の予防・改善
- 認知症の予防・改善
- うつ病の予防・改善
- 記憶力・学習能力の向上
- 美肌
ここまでが、オメガ3脂肪酸摂取の重要さとメリットのご紹介でした。
最後にオメガ3脂肪酸が多く含まれている食べ物を記載いたします。
<野菜>
1位 なす
2位 枝豆
3位 唐辛子
<魚介類>
1位 あんこう(きも)
2位 まぐろ
3位 さば
コレステロール・中性脂肪は悪くない
みなさんは、体内の脂肪というと、コレステロールを真っ先に浮かべるでしょう。健康診断を受ければ、その数値に一喜一憂するのではないでしょうか。そして、肉や卵を食べると、「悪玉コレステロール」の血中濃度が上がってしまうと心配し、健康に自信のない人ほど控えるようにします。しかし、それが時に寿命を縮める原因になりかねないほど危険なことを私たちは知っておかなければなりません。なぜでしょうか。
まずはコレステロールについて説明していきます。なぜコレステロールの数値は度々問題にされるのでしょうか。その答えを知るためには、正しい理解が必要です。一般にコレステロールには2つのタイプがあると考えられています。俗に「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLと、「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLです。こんな俗名があるために、LDLは、「体を病気にする悪者」とされがちです。しかしそんなことはありません。私たちにとって、HDLも大事ですが、LDLがなくても生きていけないのです。両者の違いは、リポたんぱく質の性質の違いです。リポたんぱくとは、コレステロールや中性脂肪をアポたんぱくとリン脂質でつつんだもののことです。コレステロールや中性脂肪酸などの脂質は、リポたんぱくになることによって、血液に混じって全身に流れていくことができます。
※アポたんぱくとは、タンパク質の一種で、脂質の代謝に関与するタンパク質です。脂質は、水に溶けにくい性質がありますが、アポたんぱく質は脂質と結合することができます。このため、アポたんぱく質は、脂質を体内で運ぶ役割を持っています。
では、「低比重」「高比重」とはどのような意味でしょうか。
脂質は水よりも軽いという性質を持ちます。つまり、比重が小さいのです。脂質が多いと水より軽く、比重はより小さくなります。つまり、リポたんぱくにコレステロールがたくさんつまっていると、比重の低い「低比重リポたんぱく(LDL)」、すなわち「悪玉コレステロール」になります。反対に、リポたんぱくの中身のコレステロールが少なくなると、 「善玉コレステロール」と呼ばれる「高比重リポたんぱく(HDL)」 になります。こうして考えてみると、私たちが「善玉」「悪玉」と呼んでいるコレステロールそのものには、それぞれ違いはないのです。 両者の違いといえば、リポたんぱくの中身がいっぱいか、少ないか、ということです。ただし、リポたんぱくの比重が異なることで、働き方は違ってきます。 コレステロールを多く詰め込んだLDLは、これを必要とする全身の細胞にせっせと送り届ける役目があります。 コレステロールは、細胞膜の材料となるとともに、副腎皮質ホルモンや性ホルモンなどの分泌物、脂肪の消化に不可欠な胆汁酸の材料ともなります。
「悪玉」と敵視されがちなLDLですが、これがなければ私たちの体は若々しく正常に働けません。それにもかかわらず健康悪とされてしまうのは、血中濃度が高まると、多くの問題が起こってくるからです。一方、HDLは全身をめぐって余分なコレステロールを吸いとり、肝臓に戻す働きをしています。 「善玉」と呼ばれるHDLはコレステロールの掃除屋なのです。
まとめ
最後にまとめになりますが、油を変えれば、健康状態は必ず変わっていきます。
もしもあなたが疲れやすい、だるい、元気が出ない、うつうつとするなどの不調を感じているとしたら、思い切って、数ヶ月間だけでも、油を変えてみましょう。細胞の新陳代謝のサイクルは体の部位によって異なりますが、数ヶ月(約2ヶ月)あれば大体入れ替わります。現代人の健康に必要なポイントを最後にまとめさせていただきます。
- オメガ3脂肪酸を豊富に含むこと
- 低温圧搾で丁寧に作られていること
- 有機栽培による材料を使っていること
- 黒っぽい遮光瓶に入れられていること
- 同じ種類の油と比べて、安すぎないこと
また、本書には体に悪い食品の例がいくつも載っておりました。今回の要約ではその一部を紹介させていただきました。長生きするためにより油のことについて勉強したい方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。
これまで「当たり前だと思っていたことが実は違った」などの発見があるかもしれません。
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