今回は「老化は腸で止められた」著者
光岡知足(みつおか ともたり)の本の要約です。さっと動画で見たい方はこちら、約8分です。
文章で読みたい方は、こちら。目次でお好きなところからお読みいただけます。
老化は腸で止められた 著者 光岡知足氏
何をどれだけ食べればいいのか?ダイエットや健康を意識するうえで、食事のとり方や栄養バランスを考えることは重要ですよね。筆者は、まず腸内細菌に耳を澄ませることを推奨しています。腸が健康でないと、体内で老化が進みやすく、病気のリスクが上がってしまうのです。腸の内部には、約100種類以上もの細菌が住んでいます。昨今では、この腸内細菌が健康に効くというのが巷で流行した話ですが、ここで誤解が生まれています。たとえば、悪玉菌は良くないとか、生きた菌が腸まで届かないと意味がない、というような情報です。本書では、最新の腸内研究から分かった「腸の若返りと健康」に関して、様々な知見をお届けしていきます。
本書の要点
1.腸内フローラが崩れると、なぜ老化が速まるのか?
2.腸の老化度をチェックしよう
3.腸内クリーニングの方法を4つのポイントで知ろう
腸内フローラが崩れると、なぜ老化が速まるのか?
さて、人では100種類以上、100兆個以上の腸内細菌が知られています。中でも、若返りのカギを握る腸内細菌の代表格が「ビフィズス菌」です。一方、老化や体の不調をもたらす悪玉菌の代表格が「ウェルシュ菌」や「大腸菌」です。これらの細菌が花畑のように集まって構成される「腸内フローラ(腸内細菌叢)」は、加齢と生活習慣によって、ひいてはあなたの生き方によって日々変化しています。では、腸内フローラが崩れると、どうやって老化が加速するのでしょうか。
まず、悪玉菌が腸内のタンパク質を腐敗させて、いろいろな有害物質を産生させます。たとえば、大腸菌やウェルシュ菌、ブドウ球菌などは、我々が生きるうえで欠かせない栄養素・タンパク質を腐敗させて、アンモニア、アミン、フェノール、硫化水素などの有害物質を生成することが報告されています。これらの物質は、便秘や下痢、肌荒れのみならず、血圧を上げたり下げたり、あるいは白血球を遊走させて炎症反応を起こしたりと、様々な病気を引き起こす要因となっているのです。
一方で、健康な人の腸では、ビフィズス菌のような善玉菌が優勢です。というのも、病原菌が腸内に侵入するのを防いだり、悪玉菌の増殖を抑えたり、あるいは腸の働きを活性化させたりしてくれるからです。年を取ると体臭が出てくる原因は、こうした善玉菌の体内割合が自然と減ってしまうこと。ウェルシュ菌のような悪玉菌は、体内のタンパク質を腐敗させ、様々な有害物質を産生するため、それらが悪臭を放っているとも言えます。ただ、若い人でも注意が必要です。たとえば、肉類を多く食べすぎたり、便秘したときなど、便が臭いと感じる場合は、腸の調子が良くないという警告でもあります。このように、腸内フローラの健康状態は、普段の食生活やストレスなどが大きく関係しているのです。
次に、食生活についても説明します。食の欧米化が進み、腸内の腐敗菌を増殖させる肉類を摂取する割合が増えて、食物繊維や発酵食品は少なくなってきました。日本人の死亡率で「大腸がん」が急増しているのも、欧米型食事(洋食)が密接に関与することが研究されています。高タンパク・高脂肪のメニューは、日本人の体質には負担が大きいため、食べ物すべてがきちんと消化・吸収されず、腸内にストレスが蓄積して、最終的にがんを引き起こしてしまうのです。
腸の老化度をチェックしよう
では、生活習慣の見直しもかねて、以下の点について、腸の老化度をチェックしてみましょう。
・肉の食べすぎ、お酒の飲み過ぎ
・若い頃に比べて、疲れが抜けにくい、体が重い、だるいなど体力の低下
・途中で何度も目が覚める、熟睡した気がしない、などの睡眠不足
・ストレスが溜まって、便秘や下痢、風邪、感染症などの頻度が上昇
・排便時間が長い
・肌荒れや服でモノが多い
・頭痛、動悸、めまい、耳鳴り、吐き気、息苦しさなど、気分が沈みがち
これら7項目を見ていくと、あなたの腸内老化度=体内老化度を知ることができます。1点以下であれば良好、2~3点は注意、4~5点は不良、6点以上は最悪の状態です。腸内フローラをキレイに保つことは、日々のストレスを低減させるだけでなく、健康寿命にも効果的です。一日も早く、腸内の腐敗菌を追い出して、ビフィズス菌のような善玉菌を増やしていきましょう。
腸内クリーニングの方法を4つのポイントで知ろう
最後に、腸内クリーニングの方法について、4つのポイントからご紹介します。
1つ目は、腸内の善玉菌を増やすこと。ビフィズス菌は、ビタミンB群やニコチン酸、葉酸などの栄養を体内で作ってくれます。また、ビフィズス菌が創り出す乳酸や酢酸は、腸の蠕動運動を活発にして、便通をより良くしてくれます。そして、善玉菌を増やすためには、プレーンヨーグルトを1日200グラム以上取ることをおすすめします。ヨーグルトには、タンパク質、脂質、ビタミン類、ミネラル類がバランスよく含まれています。また、乳酸菌の働きによって、牛乳として飲むよりも消化・吸収されやすく、栄養面でも優れていることが分かりますね。
2つ目は、腸内の悪玉菌を追い出すこと。そのために「食物繊維」を積極的に摂りましょう。たとえば、穀類、豆類、イモ類、野菜、果物、海藻などに多く含まれています。食物繊維が多いメニューを挙げるなら、納豆、切り干し大根、煮豆、小豆、ひじきの煮つけなどがあります。
3つ目は、便秘を解消させること。消化吸収力が衰えると、食べ物が未消化のまま大腸に送り込まれやすくなります。すると、腸の運動も衰え、便秘になりがちなのです。この状態は、ウェルシュ菌などの増殖を促すため、悪臭としておならが出るようになります。年を取ってよくおならが出る人は、腸の老化が進んでいる証拠です。
4つ目は、運動を取り入れること。やはり歩くことは大切です。現代人は、車・電車移動やエレベーター、エレベーターをよく利用しており、意外と歩く時間が減っています。歩くことは全身運動ですので、体全体の血流を良くして、肺や心臓の働きを強め、足腰を鍛えることで老化を防いでくれます。
まとめ
今回は、腸内フローラが健康に影響することについて、おもに食生活に焦点を当ててご紹介してきました。ビフィズス菌をはじめとする善玉菌を増やすことで、悪玉菌を体外へ追い出し、体をキレイに保つことができるようになります。ビフィズス菌を増やすヨーグルトを食べて、食物繊維を積極的に摂ることは、腸内環境を整える基本の食生活です。その他にも本書には、腸内フローラを元気にさせるメニューなど有益な情報もたくさん掲載されています。ぜひ本書を読んで、ご自身の腸老化度を改善する方法を実践してみてください。
おすすめ記事